事業への旅立ち

西田東藏の世界Corporate philosophy

　商品にねらいをつけた段階で、多数の友人にマーケティングリサーチを依頼し、種類・味・量・価格などを決めていきました。一方、メーカーとして供給面でも問題を解決しなければなりません。私はメーカーにいましたが、金属加工業から食品製造業へち全く畑が違います。製造機械や自販機を独自に開発して行かなければなりません。自己完結型ですから、発熱体も一から研究を始めました。自販機による販売システムを知ることも必要です。既存の飲料品メーカーの商売を勉強しました。
　次は、食材の仕入れです。食材は食中毒など生命にかかわる問題を含んでいます。そのため、あらゆる面でギャランティーしてもらえる相手先、それも日本でのトップメーカーと相談しました。しかし、当初の年間3万食程度という私の計画では全く物の数にも入りません。そういう状況の中で、私の強い夢と夜食の必要性に理解を示すところが現れました。製粉、スパゲティーで最大手のメーカーがOEM生産方式を引き受けてくれたのです。これが契機となり、数社のOEM生産に漕ぎ着けました。私は食品の素人ですから、大手の知恵、設備、信用を利用できて本当のありがたいことだと思いました。
　しかし資金面の問題が控えていました。多少の資金を用意していたものの、とても足りる金額ではありません。幸い、中小企業金融公庫、大阪府信用保証協会、国民金融公庫の理解を得られ、自前の合理化した経済的な自販機生産のめどが立ちました。仕事を切り開いていく過程で「案ずるより産むが易し」と感じるようなことも起こってきたのです。
　以上のように、販売・生産・仕入れ・資金など、諸々の問題は一つひとつ分けて処理できるものではありません。すべてがほとんど同時に発生し、同時に進行し、同時に解決が迫られました。目の回るような忙しさでしたが、幸い非常に健康で、私の発想や商売の方法は必ず社会的に認められる日がくるという信念が、だんだんと強まってきた時期でした。申し上げるまでもなく、いよいよ事業を開始しようとするとき最も大切なことは、市場ではお客様の支持を受け、社内ではよいパートナーや部下の協力が得られるかどうかです。そのためには、まずもって私自身しっかりした経営についての考え方を持っていなければなりません。言葉を換えると経営理念の確立ということですね。これについては、私自身、前の職場にいたときから持っていましたが、さらに思いめぐらして社名、行動ガイドラインなどを決定しました。
　　　　　　　　　
　　　社　名　：　株式会社セックコーポレーション　ＣＥＣ　CORPORATION　

　　社名の由来：　Create Excellent Company の頭文字。

　　　Let's Create Excellent Company with alltogether. 即ち、「みんなで作ろう！ええ会社」という事です。　　

行動ガイドライン：

（1）社員の主体性とプラス志向を尊重し、思い切って仕事をゆだねる。
　　　
（2）仕事も給与も一流の企業を目指す。　　　
　　年間給与：30歳代で1000万円。総労働時間：1600時間を目標。

（3）人間関係では、お互いの気持ちを尊重し、誠実と信頼の気風を形成する。

（4）会社の勤めは生活の手段ではない。会社は自分の夢を実現する大切な場である。

　　例えば喫茶店をやりたい人は会社の中で喫茶店を経営する。

　　　　　　　　　　　　　　